【 2009 年度 授業概要】
科   目 放電現象 ( Phenomena of Electric Discharge )
担当教員 北村 洋 非常勤講師
対象学年等 電気工学科・4年・前期・選択・2単位 ( 学修単位II )
学習・
教育目標
A4-E1(100%)
JABEE
基準1(1)
(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
通常,すべての物質は電気的には導体と不導体に分けられる.しかし,絶縁物といわれるものでも,高電界が加えられると電流が流れるようになる.このように高電界を加えると現れる物理現象,すなわち光と音を伴う放電現象が代表的なものである.ここではまず,気体の放電現象を理解することを目的とする.



1 【A4-E1】  気体中の荷電粒子の発生と消失の機構が理解できる.
2 【A4-E1】  気体の部分破壊(特に,コロナ放電)および絶縁破壊現象が理解できる.
3 【A4-E1】  気体の絶縁破壊に関する理論すなわちタウンゼント理論およびストリーマ理論が理解できる.
4 【A4-E1】  電界および電極形状の違いが放電現象に及ぼす影響を理解する.
5 【A4-E1】  雷現象に関する種々の機構および現象が理解できる.
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1 荷電粒子発生に関するα作用,γ作用および焼失に関する拡散,再結合および電子付着などの機構が理解できているかどうかを中間試験及びレポートで評価する.
2 部分放電特にコロナ放電発生の機構および火花放電発生の機構が理解できているかを中間試験およびレポートで評価する.
3 最初に発表された火花放電理論であるタウンゼント理論の内容およびこの理論の欠陥を是正したストリーマ理論が理解できているかを中間試験およびレポートで評価する.
4 電界の違いや電極の形状の違いが放電現象にどのような影響を与えているかを理解できているかを定期試験およびレポートで評価する.
5 自然界に発生する放電現象としての雷現象について,雷雲の発生過程および雷雲内での電荷の発生機構,さらに電荷の分散機構が理解てきているかを定期試験およびレポートで評価する.
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成績は,試験90% レポート10% として評価する.成績は,中間試験,定期試験の平均の90%(90点)とレポート10%(10点)の合計100点満点で60点以上を合格とする.レポートは各到達目標に関する内容のレポート課題を適宜出題する.
テキスト 新版 高電圧工学:河野 照哉 著(朝倉書店)
板書
参考書 基礎 高電圧工学:赤崎 正則 著(昭晃堂)
関連科目 電磁気学,高電圧工学,静電気応用工学,プラズマ工学
履修上の
注意事項
基礎的には,電磁気学の電界,誘電体の性質および荷電粒子の働きを理解している必要がある.さらに,高電圧工学,静電気応用工学,プラズマ工学に関連していくので,基本的な知識を養っておく必要がある.

【授業計画( 放電現象 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 高電圧(高電界)現象
物体の高電界下における物質の電気的性質,特に絶縁破壊の機構を解明することを目的とするが,電圧の値そのものよりも電界強度と電気伝導度との関係が重要な対象となる.
2 荷電粒子の発生機構
電子の衝突電離作用(α作用)およびイオン等による2次電子生成機構(γ作用)による荷電粒子発生機構について説明する.
3 荷電粒子の消失機構
発生した荷電粒子が本来の機構である放電および付随的な現象である拡散,再結合,電子付着等によって消失していく機構について説明する.
4 タウンゼント機構,パッシェンの法則
気体の絶縁破壊機構を最初に理論的に解明したのはイギリスのタウンゼントである.彼は低気圧気体中の平等電界下での電流の式を導出した.このタウンゼントの式より火花放電に関するパッシェンの法則が導かれたことを解説する.
5 ストリーマ理論
線状放電が発生するようになると,タウンゼント理論が適用できなくなる.そこで,この欠点を是正したものがストリーマ放電であり,代表的なミークの理論について解説する.
6 コロナ放電I
気中の直流による正コロナ放電の発生過程,発生機構およびその性質について解説する.
7 コロナ放電II
気中の直流による負コロナ放電の発生過程,発生機構およびその性質について解説する.
8 中間試験
項目1〜7までの内容についての試験を行う.
9 中間試験の解答および解説
実施した中間試験の解答および解説を行い,注意すべき点等を指摘する.
10 コロナ放電III
交流コロナ等の種々のコロナについて解説する.
11 各種電極間での放電特性I
平行平板電極に代表される平等電界下での放電特性について解説する.
12 各種電極間での放電特性II
針ー平板電極に代表される不平等電界下での放電特性について解説する.
13 沿面放電
2層誘電体の境界面に発生する放電現象および放電電荷図形,リヒテンベルク図形について説明する.
14 雷放電現象I
雷雲の発生する気象学的機構および雷雲内での電荷の分離機構について説明する.
15 雷放電現象II
雲内放電,雲間放電および対地放電(落雷)のそれぞれの放電過程について説明する.


前期中間試験および前期定期試験を実施する.中間試験を実施する.定期試験を実施する.